新町川文化ギャラリーは水の都とくしまを象徴する「しんまちボードウォーク」と、それに並行する東船場通りに面し、新館・旧館二つの顔を持つ「 国際東船場113ビル」にあります。ボードウォーク側に面した鉄骨造五階建の新館は、各階から川沿いの風景が楽しめる全面ガラス貼りの明るく開放された近代的建物。一方、東船場通りに面した旧館は、スクラッチタイルの外壁とロマネスク風の装飾を施した昭和初期の意匠を保った鉄筋コンクリート造三階建の洋館。この、旧館は平成9年7月15日付をもって登録有形文化財に指定されました。
 設計は当時の建築業界の先達であり、名古屋における近代建築の開祖とされる鈴木禎次(昭和16年没)が手がけ、昭和6年着工、翌年3月に竣工。当時の徳島市における鉄筋コンクリート造の建物といえば徳島県庁、徳島市役所、銀行、百貨店のみで民間にあってはこの建物が初めてでありました。昭和20年、徳島大空襲で市内一円焼土と化したが、当建物は当時では珍しかったドイツ製亀甲網入の窓ガラスのおかげで、一階の一部を除き戦火を免れました。窓ガラスは戦災時の大火による熱割れ、縦横に亀裂が走るなど戦争の悲惨さと凄まじさを今も伝えています。空襲の生き証人という歴史的な「物語」を持つビル内の一室をギャラリーとして公開することで、歴史の重みや建物の味わいを楽しみながら、人々に活用していただきたいと考えます。

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